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- 2021.04.19 Monday
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独立門は中国の圧政から抜け出した記念の門
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三・一節に知人とカカオトークのチャットルームで話をしていて、ソウル市西大門区の独立門は抗日独立の意志のために建てたものだと思っている人が意外に多いということを知った。独立門は、中国の圧政から抜け出すことになったのを記念するため、徐載弼(ソ・ジェピル)先生が主軸となって建てたものだ。多くの人が抗中独立門を抗日と誤解していることは、韓国社会の現代史認識の屈曲地点を示している。
韓国は歴史的に中国と日本から多くの被害に遭ったが、その被害の程度でいえば、中国がもたらした屈辱と苦難の方がずっと大きい。さげすみを受けた歳月は500年を優に超える。習近平がトランプに「韓半島は中国の一部だった」と語って韓国人を怒らせたが、実際のところ、中国人は500年以上もそう考えてきた。朝鮮王朝は武力を事実上放棄し、中国の下へ自ら入り込んでいった国だった。中国の皇帝が承認してようやく王になることができた。毎年ささげるべきありとあらゆる献上品のせいで、民は疲れ果てた。その上、中国の使臣の序列は朝鮮国王よりも高かった。ひとたび使臣が現れれば、朝鮮の山川草木がおののいた。中国の朝廷に賄賂を贈って使臣に任命された者たちは、朝鮮にやって来て元手を数倍に増やした。国が毎回すりつぶされそうな有様だった。
中国の使臣が来たとき、朝鮮国王が出ていって迎接していた場所が「迎恩門」だ。中国皇帝の恩恵を迎える、というわけだ。1894年の日清戦争で中国が敗れると、朝鮮王朝は遂に中国からの独立を宣言した。その後、迎恩門を取り壊し、中国の束縛から抜け出した歴史的瞬間を記念するため1897年にちょうど同じ場所に建てたのが独立門だ。
この独立門をおかしなことに抗日の象徴だと思っている人がこれほど多いのは、反日が政治の手段になっているからだ。中国共産党を尊敬して反日を掲げる民主化運動圏(左派の市民学生運動勢力)が権力を握ったことで、中国が韓国に与えた巨大な被害は埋もれ、忘れられた。遂には、6・25南侵を金日成(キム・イルソン)と共に謀議して数十万の韓国国民を殺傷した毛沢東を最も尊敬しているという大統領まで2人も登場した(盧武鉉〈ノ・ムヒョン〉、文在寅〈ムン・ジェイン〉)。
独立門に対する誤解が喜劇になってしまった事例が、文大統領の2018年の三・一節記念式典だ。文大統領は記念式典を西大門刑務所で開催し、強硬な反日演説を行った。そうして、出席者らと共に近くの独立門へと行進し始めた。大統領一行は独立門の前に立ち、一緒に万歳を三唱した。抗日イベントが反中万歳で終わったのだ。文大統領は、中国へ行って韓国を「小さな国」と卑下し、中国を「高い峰」と仰ぎ見た人物だ。その文大統領が、独立門は中国から独立したことを記念する象徴だという事実を知っていたなら、決してそこで万歳を叫びはしなかっただろう。
独立門が立てられる10年前、朝鮮王朝は自主外交をしようと米国に公使を派遣した。当時、中国の朝鮮「総督」は28歳の袁世凱だった。父親や祖父のような年代の朝鮮の大臣たちを殴り、椅子を投げ付けたりもした彼は、属国が何の外交をするのかとブレーキをかけた。米国の助けで、なんとか朴定陽(パク・チョンヤン)公使がワシントンに到着したが、すぐさま中国の干渉に妨げられた。独自に米国の官僚と会うことはできず、会う際には必ず中国公使の下座に着けと言われた。そんなさげすみから抜け出そうと建てた独立門の前で反日万歳を叫ぶ大統領は、肝心の中国訪問時、朴定陽が受けたさげすみに劣らぬ侮辱を受けた。
韓国のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備に不満を持った、21世紀の袁世凱のごとき習近平は、韓国に行儀を教えてやろうと文大統領を意図的に無視した。「一人飯」の連続で文大統領に恥をかかせ、韓国の記者は中国の警護員に集団暴行されて失明の危機にひんした。最終日の肝心の夕食会でも、習近平は一言も話さなかった。同席していた韓国の実業家は「きまり悪くて緊張し、きちんと食べることもできなかった」と語った。終盤になってようやく、習近平は口を開いて対話を始めた。全て仕組んでおいた脚本なのだろう。韓国はうまく飼い慣らされた。「THAADの追加配備はしない」「米国のミサイル防衛網に参加しない」「日本と同盟を結ばない」という三不の約束をしてやった。韓国は、中国の前で主自ら権を放棄した国になった。中国の下にまたも入っていったのだ。反中独立門の前で反日万歳を叫ぶこともできる大統領だ。
今、世界で最も重大な課題は、中国共産党の経済的、軍事的台頭をこれ以上傍観するつもりはないという米国の決意と行動だ。1902年の日英同盟以来、実におよそ100年ぶりに見る驚くべき場面が、少し前にあった。英国と日本の外交・国防トップが連席会談を開き、英国の空母「クイーン・エリザベス」の日本駐屯(原文ママ)と訓練に合意した。フランスの強襲揚陸艦も日本に来る。米日豪印の反中クアッドに英仏も参加しているのだ。中国は「新・アヘン戦争か」と言っている。アヘン戦争は列強の中国侵略だったが、クアッドは中国の覇権侵略に対応しようとするものだ。南シナ海のほとんど全域を自分たちのものだと主張する中国は、韓国の西海はもともと自宅の庭のように考えている。この世界史的な要所において、韓国の左派運動上がりの学生外交は、どうすればいいか分かっていない。独立門の前で反日万歳を叫ぶ、そういうレベルでしかない。
楊相勲(ヤン・サンフン)主筆
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韓国与党・共に民主党の検察改革特別委員会は25日、検察の捜査権廃止に向けた重大犯罪捜査庁設置法を来週にも発議すると表明した。事実上検察をなくす法律に等しく、6月までに処理する方針だ。「まさか」と思っていたが本気だ。
検察はその存在が憲法に明確に規定されている機関だ。捜査と人身の拘束権限を持つ唯一の機関でもある。捜査庁法が成立すれば、検察は残された6つの犯罪の捜査権まで全て奪われ、2000人を超える検事が一時に抜け殻になる。現政権は「検察が得意とする特捜へと捜査範囲を縮小することが検察改革だ」と述べてきた。ところが、突然それまでも奪い去り、法務部傘下の捜査庁に移管するという。大統領と与党が重要な捜査を思い通りにやるという意味だ。与党は「先進国は捜査権と起訴権が分離されている」というが事実と異なる。ドイツ、フランス、日本は検察が重要事件を直接捜査し、米国も検察が捜査権を持つ。
青瓦台の兪英民(ユ・ヨンミン)秘書室長は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が朴範界(パク・ポムゲ)法務部長官にこの法律に関連し、速度調節を求めた」と述べた。青瓦台が考えてもあまりに無理な法律だったことになる。しかし、民主党の院内代表が反発すると矛を収めた。その後、青瓦台は何の立場も表明していない。事実上同調している。
民主党改革特別委員会の委員長は「(捜査権の廃止を)前倒しすべきだという考えを抱かせたのは尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長や検察のこれまでの態度のせいだ」と話している。その「態度」とは言うまでもなく政権の月城原発1号機の経済性評価ねつ造、青瓦台の蔚山市長選介入、ライム・オプティマスファンド詐欺、チョ・グク元法務部長官のスキャンダルなど政権の不正疑惑に対する捜査だ。
政府は当初、検察の捜査チームに対する制裁人事を行い、尹錫悦検察総長を無力化した。李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長ら政権寄りの検事を政権に対する捜査に対抗する盾とした。それでも月城原発1号機を巡る捜査が続くと、いっそ検察をなくすと脅し始めたのだ。公聴会では「検察の建物もなくすべきだ」という言葉も出たという。今尹検察総長ら検事たちが政権の不正に対する全ての捜査を放棄すれば、検察廃止法はすぐになかったことになるはずだ。検察をなくす法律を主導した議員は不正の疑いで検察の捜査を受ける被疑者だらけだ。泥棒が棒を手に検察を脅している。本当に何が起きても驚かない国になろうとしている。
北朝鮮国内にいるデイリーNKの軍高位情報筋によれば、北朝鮮は今年1月中旬、デモ鎮圧を任務とする大隊規模の護衛部隊を新設したという。
「41大隊」と命名された新部隊の編成は護衛司令部が主導し、優秀な人材900人余りを選抜。7個中隊編成で、平壌・牡丹峰(モランボン)区域の北塞洞(プクセドン)に本部を置いている。部隊にはすでに最新の装備が支給され、最小限の任務遂行に必要な準備を終えた状態だという。
護衛司令部は、北朝鮮における超エリート部隊であり、対象者は朝鮮労働党の組織指導部護衛総局、通称「5課」で選抜される。韓国紙・朝鮮日報が以前報じたところでは、金正恩総書記の第1線警護(身辺警護)は護衛司令部、第2線は国家保衛省と朝鮮人民軍保衛局、第3線の外郭警護は社会安全省(警察)が担当する。
金正恩氏は2015年8月にスッポン養殖工場を視察した際、現場の管理不備に激怒し、その場で支配人の処刑を命じた。脱北者で東亜日報記者のチュ・ソンハ氏が北朝鮮国内の噂として伝えたところでは、このとき金正恩氏が命令するや、電光石火の動きで支配人を連れ去ったのが、身長180センチをゆうに超える巨漢の護衛兵たちだったという。ちなみに、金正恩氏は自らが激怒したときの映像を公開している。
それにしても、北朝鮮がここへ来てデモ鎮圧部隊を新設したのはなぜなのか。
前出の情報筋によれば、北朝鮮ではこれまで、金日成主席と金正日総書記の遺体が安置された錦繍山(クムスサン)太陽宮殿に配置された護衛司令部傘下の2個大隊が、デモ鎮圧の任務を帯びていた。今回、デモ鎮圧の専門部隊が別途編成されたことについて情報筋は「目的を特化した部隊の設置により、騒乱やデモを速やかに鎮圧しようというもの」だとしながら、「新部隊は今後、革命の首脳部がある平壌での異常事態発生を抑止すべく、強大な権限を行使していくはず」と語っている。
北朝鮮国内では、長期にわたる経済制裁や新型コロナウイルス対策の国境封鎖により、慢性的な経済難がいっそう深刻化していると見られる。当局は、いずれ国民の不満が危険水域に達し、不測の事態に発展し得ると考えているのかもしれない。
それにしても皮肉なのは、同部隊新設を指示する最高司令官命令が、金正恩氏が「以民為天」――民を以て天と為す――というスローガンを掲げた朝鮮労働党第8回大会の直後に出されたということだ。同党のスローガンを額面通りに受け取る人はほとんどいないにせよ、言葉と正反対の行動には、呆れるよりもむしろ戦慄を覚える。
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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は17日、セウォル号沈没事故について、「遺族が願っている方向通りに真相究明がすっきりと進んでおらず残念だ」と述べた。故・白基玩(ペク・キワン)統一問題研究所長の弔問に訪れた際、「セウォル号救助に失敗した海洋警察指導部が一審で無罪判決を受け残念だ」という故人遺族の言葉に答えた発言だ。ソウル中央地裁は15日、セウォル号事故当時の海洋警察幹部10人に無罪を言い渡し、遺族が反発した。結局大統領の発言は、遺族が望む通りに有罪判決が出るべきだったという意味だ。
ソウル中央地裁は海洋警察庁長をはじめ、海洋警察幹部がセウォル号の沈没現場から離れている状況で、即時退船措置を取るべきかどうか判断できなかったとし、業務上過失致死傷罪には問えないと指摘した。そして、「セウォル号事故は全ての国民に大きな傷を負わせた。裁判所の判断にさまざまな評価があるのは当然で、批判を受けても甘受する」と表明した。批判が出ることは十分分かっているが、法律と良心に従い、無罪という司法的判断を下すしかなかったのだ。検察のセウォル号特別捜査団は先月、セウォル号関連の容疑17件のうち13件を「嫌疑なし」とし、「遺族は失望するだろうが、成立しない事件を無理につくり出すことはできない。法律と原則に沿ってできることは全てやった」と説明した。遺族が望むからといって、罪をつくり出すことはできないという話だ。
修学旅行に出掛けた高校生ら300人を超える人名を奪ったセウォル号事故は、遺族だけでなく、国民全体に深い心の傷を残した。そんな原始的事故が起きた理由を国民は納得できなかった。そして、繰り返された捜査や調査を通じ、沈没原因と救助失敗の理由が明確に判明した。責任を取るべき人は刑務所に行った。ところが、その範囲を超え、成り立たないことを無理やりつくり出すのだとすれば、それは真相究明ではなく、恨みを晴らす行為だ。それによって、罪のない被害者が生じることになる。文大統領は法治国家の基本原則よりも遺族の要求と希望が優先だという立場を示した。大統領がセウォル号事故現場を訪れた際、芳名録に「申し訳ない。ありがたい」と記したことが改めて思い出される。
1カ月ぶりに沈黙を破った尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の最初の言葉は「自由民主主義は『法の支配(Rule of law)』を通じて実現する」というものだった。3日午後4時30分に最高検察庁で開かれた新任検事申告式でだ。法曹界では、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の「チャンネルA強要未遂疑惑」事件に対する捜査指揮権発動を批判したものだという解釈が出てきた。チョ・グク前法務部長官捜査、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)蔚山(ウルサン)市長選挙介入事件など政権の核心を狙った捜査をし、与党から事実上の辞任圧力を受けた尹総長が、公式的な席で覚悟の発言をしたのだ。これに先立ち尹総長は先月8日、秋長官の捜査指揮に対して5行の立場表明をしたが、その後は沈黙を続けてきた。
尹総長がこの日「法の支配」に言及したのは、秋長官の指揮権発動で検察の独立性が侵害されたと判断したためとみられる。検察の独立性に対する保障なしに法の支配は実現されにくいが、民主的統制という名で政権が検察に介入しながら結果的に民主主義が崩壊していると批判したのだ。また尹総長は「我々の憲法の核心価値である自由民主主義は、平等を無視して自由だけを重視するのではない。民主主義という仮面をかぶっている独裁と全体主義を排撃する本物の民主主義」と強調した。これに対し法曹界では「総選挙での圧勝後に多数決の力を誇示している巨大与党を狙ったものではないのか」という分析が出ている。
尹総長は、秋長官が法務部と検察を事実上の上下関係と規定したことに対しても苦言を呈した。尹総長は「先輩らの指導と検察の決裁システムは命令と服従ではなく、説得と意思疎通の過程」とし「検事がすべきことのうち最も重要なのが説得」と強調した。これは先月8日に秋長官が作成したという法務部の立場文の草案で尹総長を「受命者」とした点に関するものと解釈される。開かれた民主党の崔康旭(チェ・カンウク)代表のフェイスブックに公開された草案には「受命者は従う義務がある」という表現が登場する。尹総長が秋長官の指揮に服従すべきという意味と解釈される。チャンネルA事件の捜査も同じだ。最高検察庁刑事課長らのほか中央地検捜査チームの検事らの反対にもかかわらず、李盛潤(イ・ソンユン)中央地検長の一方的な主張でイ・ドンジェ元チャンネルA記者に対する逮捕状が請求された。
◆野党「忠誠のない剣客・尹錫悦の帰還」
尹総長が「防御権の保障と拘束の節制が人権中心捜査の要諦」と述べたのも、イ元記者を無理に拘束した中央地検捜査チームに向けたものと解釈された。尹総長は「拘束が犯罪に対する処罰であり捜査の成果という誤った認識を取り払わなければならず、検察が強制捜査という武器を利用して優越的な地位を乱用することがあってもいけない」と述べた。
これに先立ち文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6月末に青瓦台で開かれた「公正社会反腐敗政策協議会」で、秋長官と尹総長に向けて「『人権捜査元年にする』という覚悟で協力して果敢な改革案を用意してほしい」と要請した。
尹総長は「権力型不正に堂々と対抗すべき」とも語った。中央地検の「故朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長事件被害者面談回避疑惑」に関連してだ。尹総長は「不正腐敗と権力型不正はいかなる場合も背を向けず堂々と対抗し、国民から委任された法執行権限を厳正に行使しなければいけない」と声を高めた。
この日の発言は最高検察庁の参謀の添削なく尹総長が自ら作成したという。尹総長は検警捜査権調整案、検事肉弾戦、朴元淳前ソウル市長告訴事実流出疑惑まで検察をめぐる懸案が山積した状況だが、この1カ月間は沈黙していた。
しかし尹総長はこれ以上懸案への言及を回避できないと判断したとみられる。これは法務・検察改革委員会が検察総長の捜査指揮権を廃止する勧告案を提示すると、一線の検事の反対にもかかわらず法務部が貫徹の意志を表したのと無関係でない。近く断行される検察人事で尹総長側近の虐殺人事が繰り返される可能性も高い。検察の一部は「もっと強い批判を期待したが、尹総長が程度を調節したようだ」と話した。
政界の反応は分かれた。野党・未来統合党のキム・ウンヘ報道官はこの日の論評で「政権の忠犬でない国民の検察を作るという意志と解釈される」とし「人への忠誠を見せない剣客・尹錫悦の帰還を歓迎する」と述べた。陳重権(チン・ジュングォン)元東洋大教授はフェイスブックで「強い。決断したようだ」と反応した。
一方、警察出身の黄雲夏(ファン・ウンハ)共に民主党議員はこの日、中央日報との電話で「(捜査対象が)青瓦台だからといって過剰捜査をしてもよいわけではない」とし「検事の節制と均衡に言及すべきだった」と指摘した。
申ヒョン秀(シン・ヒョンス)青瓦台(チョンワデ、大統領府)民情首席が先週辞意を表明したと与党高官が16日、伝えた。先月1日就任してわずか1カ月半ぶりだ。
申首席のいきなりの辞意表明は7日行われた検事長の人事過程で行われたという。朴範界(パク・ボムゲ)法務部長官は検事長の人事を控えた2日と5日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長と2回にわたって人事について協議した。しかし、朴長官は李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長の交代が避けられないといった尹総長の要求を事実上無視した。2回目の会合2日後である7日、朴長官は検事長人事を発表した。異例に週末である日曜日に行われた電撃発表だった。申首席はこの過程から退く意向を明らかにしたとみられる。一部では「民情首席が検察人事でパッシングされた」という見方もある。
過去文在寅(ムン・ジェイン)政府の青瓦台民情首席室で勤めたある要人は「政府の序盤には当時チョ・グク首席が朴相基(パク・サンギ)法務部長官と文武一(ムン・ムイル)検察総長とともに定例的な人事協議を行った」とし、「だが、『チョ・グク事態』と『秋前法務部長官−尹総長の葛藤』などを経て類似した疎通のチャンネルがまともに稼動していないと承知している」と話した。ただし、申首席の辞表はまだ受理されていないという。申首席はこの日午前、青瓦台で開かれた閣僚会議に参加した。文在寅大統領が辞表を引き止めたかもしれない。
申首席は文在寅政府の初の検察出身民情首席だ。このため、彼の任命は1年以上続いてきた法務部長官と検察総長との葛藤を終結させるという文在寅大統領の意志が反映されたものと解釈されたりもした。申主席は実際検事長の人事過程で法務部と検察の間で水面下での調整を試みた。この過程で尹総長が交代を求めた李盛潤地検長の留任基調が変わったことはないが、最高検察庁の主な参謀陣交代、ハン・ドンフン検事長(法務研修院研究委員)など左遷人事の一線復帰の可能性は残っていたという。
しかし、大田(テジョン)地検刑事第5部が4日、白雲揆(ペク・ウンギュ)元産業通商資源部長官に対して月城(ウォルソン)原発第1号基の経済性評価をねつ造するように指示した疑いで拘束令状を請求することで気流が変わった。ある与党関係者は「文大統領が白元長官に対する令状請求に憤り、申首席と尹総長の調整も失敗に終わったと理解していると話した。
与党内では申首席はもちろん、イ・グァンチョル民政秘書官とキム・ヨンシク法務秘書官の辞意説を検察の人事と白元長官の拘束令状請求などをめぐる青瓦台と検察間調整が失敗に終わったことに伴うものとみている。青瓦台は立場を発表していない。姜ミン碩(カン・ミンソク)報道官は「人事関連事項は確認することができない」と携帯メールでお知らせのメッセージを送った。青瓦台はこの日午後までは「民情首席の人事パッシング」によるう申首席の辞退説に関して「常識外れの主張」として否認した。そうするうちに、申首席の辞意説がより具体的に提起されると「民情首席室内の不和説と申首席が辞意を表明することになった背景は全く異なる懸案」と話した。
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2021.01.20
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文在寅「困惑」発言の舞台裏を明かそう
韓国の文在寅大統領は、1月18日の年頭記者会見において、慰安婦裁判の判決に関連して「日本政府の資産が差し押さえられて売却されるべきか」という日本メディアの質問に答えて、「正直困惑している」と述べ、2015年の合意についても政府間の公式合意であったことを認めて「(合意を土台にして)ハルモニ(おばあさん)たちも同意できる解決方法を探していけるよう、韓日間で協議していく」と述べた。
あたかも問題がいまだ解決していないかのような言い方ではあるが、大統領自身が公の場で公式合意であることを認めたのは初めてではないだろうか。
2018年に文在寅大統領が元慰安婦を青瓦台の昼食に招いた時には「合意は真実と正義の原則に背き、内容と手続きも共に誤り」と述べ、被害者の意に反する合意をしたことについて大統領として謝罪していた。それが今回、文在寅大統領は徴用工についても言及して、強制執行によって日本企業の資産が現金化される事態は「望ましくない」との考えを示した。
文在寅氏が、自らの過ちを認めるのは非常に珍しいことである。
文在寅氏が、これまで2015年の慰安婦合意を公式合意と認めなかったことが、同問題がこじれた発端である。その意味で文在寅氏が過ちを認めたことは一歩前進であり、過ちを認めた勇気には敬意を表する。
しかし、この発言で問題解決に一歩近づいたかと言えば、それは違うであろう。
今回、文在寅氏は、「解決方法を探していけるよう、韓日間で協議していく」と述べた。これは「協議」といいつつも、日本と事実上の交渉を求めたものであろう。
実は、今回の判決を受けて、原告の弁護士も、日本政府の資産売却は事実上難しいことを認識し、これを契機に政府に外交交渉を求める考えがあると述べていた。その弁護士と歩調を合わせたのかもしれない。ちなみに康京和外交部長官は、「公式な合意であった事実は否定できない」としつつ再交渉は求めない立場を明らかにしている。
しかし、事の本質は、慰安婦問題は解決済みであり、日本が再び交渉するものではないということである。文在寅氏のように、自ら問題を作り上げて、後始末に日本の協力を求められても困る。
文在寅大統領の今回の発言からは、外交のアマチュアぶりがまた顔を出してきたと感じざるを得ない。文氏の外交をめぐっては、対北朝鮮ビラ散布禁止法をめぐる失政が大批判を浴びたばかりである。
実際、朝鮮日報は文在寅政権が対北朝鮮ビラ散布禁止法を制定したことについて、「韓国政府・与党はビラ禁止法が米国はもちろん、全世界も自由主義陣営から反発を引き起こすとは全く予測できなかったようだ」と報じている。そのうえで、外交を行う前に「戦略を立てて動くのではなく、先に動いて問題を起こし、後からこれを解決しようとするのはアマチュアなやり方だ。もしその問題解決をまともにできなければ三流だ」とも断じているのだ。
朝鮮日報はさらに、「対北朝鮮ビラ禁止法を巡る一連の事態は、人権に関する韓国政府の薄っぺらな認識、そしてその無能な外交政策のあからさまな事態を同時に満天下にさらけ出してしまった。最悪の外交惨事として記録されるだろう」とまで指摘しているのだが、この事態は日本でよく知られる「ある出来事」とよく似ていないだろうか。
そう、「慰安婦合意」をめぐる出来事である。
そもそも、2015年の慰安婦合意は「最終的かつ不可逆的」なものであった。合意を受けて、日韓両政府は元慰安婦の人々に安らかな老後を送ってもらえるよう、誠心誠意合意の履行に努め、特に韓国政府はすべての元慰安婦と接触した結果、当時の生存者46人中36人、78%の元慰安婦の人々の理解を得てきた。
「最終的かつ不可逆的合意」ということはちゃぶ台返しを許さないということである。それを、文在寅大統領が「国民の大多数が心情的に受け入れられないのが現実」というのも勝手な言い分である。78%の元慰安婦が受け入れている事実を無視しており、第3者が客観的に見れば明らかに問題は解決済みである。
この合意を確認し再提起しないよう、直ちにコメントを発したのが米国のケリー国務長官だった。
「日韓の指導者が持つ勇気と未来像を称賛し、国際社会が合意を支持することを求める」と述べたことは、合意を側面から支援した米国の偽らざる心情であったであろう。
ここまで確立した合意を文在寅政権は一方的にご破算にしようといたのである。日本がこれに同意するはずはなく、再交渉にも応じるはずはない。
こうしてみると、文在寅政権の外交惨事はビラ禁止法ばかりではない。日韓関係の悪化は文在寅政権のこのようなアマチュア外交が原因であるといえる。
もともと、外交は国益を最大化することを目指すものである。
しかし、文在寅政権の中枢にいるのは「帝王のように君臨し外に目を向けない運動圏の人々」であり、そのような人々が「政権の自閉的世界観」を形成しているのである(朝鮮日報コラム「自国では帝王、海外では仲間外れ」より)。
これが文在寅政権の現実であり、アマチュア外交である。これまで運動圏の人々は批判を受けると高圧的な言動で反発してきた。これにストップをかけられるのは文在寅大統領ただ一人である。
今回の間違いの反省を機に、韓国の外交を正道に戻してもらいたいものである。
そして慰安婦の問題の軌道を逸らしたのは文在寅政権であることを認識し、韓国自身で問題の解決を図ってほしい。そうでなければ慰安婦問題は解決しないだろう。
2015年の慰安婦合意をもたらすのには、米国が大きな役割を果たしたことを思い出したほうがいいだろう。当時、バイデン氏も日韓を歴訪し、朴大統領に日米韓首脳会談への参加を促し、オバマ大統領が仲介して3か国首脳会談が実現した。そして日韓交渉の過程でも双方の譲歩を促した。
バイデン氏はこの合意を評価している。
今回大統領となるバイデン氏は、東アジアで対中包囲網を形成して安全保障を図っていくため、民主主義国の協力を一層強化していこうとしており、そのため首脳会談も計画している。米国はその中核として日米韓の協力を位置付けており、現在のような日韓の対立はそのための障害となっている。そのためにもいずれ日韓両国に関係の改善を求めてくるであろう。
しかし、韓国では相変わらず反日的な動きが収まらず、1月8日にはソウル中央地裁の慰安婦訴訟で国際慣例法となっている日本政府の主権免除を認めず、日本の元慰安婦に対する反人権的行為を糾弾する判決が出た。
元慰安婦の問題は、バイデン氏自身が関与し、「最終的・不可逆的」に合意したものであり、文在寅氏に対してバイデン氏から適切な対応を求められることが十分に想定された。文在寅大統領としても行き詰ったのであろう。
さらに韓国は、米国とこれ以外にも対北朝鮮非核化交渉、ビラ禁止法案など懸案が山積している。北朝鮮の問題を最重視する文在寅政権としては、少しでも負担を軽くする意味で、元慰安婦の問題について自身の面子を失わない形で日本と協議して解決したいと考えたのであろう。
また、韓国側は、バイデン氏の意向を汲んで、日韓関係改善のために日本が何らかの譲歩をしてくるのではないかと期待しているのであろう。しかし、日本はむしろバイデン氏に対して、韓国の一方的な合意違反を指摘し、韓国側が是正するべきだと主張することになろう。
韓国の運動圏の理念に根差した外交は、バイデン政権としても懸念しているはずである。この機会に日米が韓国の外交を正していくことが不可欠である。
昨年秋以降、文在寅大統領から日韓関係を改善させたいとの意向は様々な形で伝えられてきた。
朴智元国家情報委員長が訪日し、小渕・金大中時のような政治宣言を提案してきた。しかし、金大中氏との政治宣言に意味があったのは、金氏が日本は民主主義国になったことを認めて、対等な外国としての関係を築こうとしていたからである。
文在寅氏は、歴史問題について「日本に謙虚になれ」と言い「日本は歴史問題を政治利用している」と非難する人である。これでは政治宣言の基礎になりえない。
また、金振杓韓日議連会長が訪日し、日米南北首脳による首脳会談を提案してきた。そのため、日韓関係の改善にも言及した。しかし、これは北朝鮮を対話に引き戻すため日本の協力が必要だとの考えから出たものであろうし、本気で日韓関係改善を思っているかは疑問である。
韓国は、新駐日大使に姜昌一氏を任命した。姜氏は前韓日議連会長であり、日本の政治家に人脈があるから、そのルートで関係改善を図ろうとする文大統領の考えを反映している。
しかし、姜氏については日本の北方領土を訪問したり、歴史問題で日本非難を繰り返すなど、日本の多くの政治家の顰蹙を買っている。文大統領はそこまで考えて人事をしているのであろうか。むしろ逆効果になる可能性も否定できない
ジョー・バイデン米国大統領が「激しい競争になる」としながら中国との覇権争いを予告し、韓国にも余波が及ぶ展望だ。これまで米中間の葛藤事案を回避しながら綱渡りをしてきた韓国政府の「戦略的曖昧性」も時効が尽きようとしているという分析だ。
バイデン政府の主要な関心事であり、対中圧迫手段である▼米国のインド太平洋戦略▼米国・日本・オーストラリア・インドなど4カ国が参加した安保連合体「日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)」▼クリーンネットワーク(中国産通信装備などの排除)−−が対中圧迫「3点セット」だ。任期を1年3カ月残した文在寅(ムン・ジェイン)政府と9日に新たに就任した鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官が現在まさに直面している課題だ。
(1)インド太平洋戦略
「われわれは開放性、包容性、透明性という領域内の協力原則により、韓国の新南方政策と米国のインド太平洋政策の間に調和のとれた協力を推進することにした」。文在寅大統領は2019年6月30日、韓米首脳会談後の共同記者会見を通じて、米国のインド太平洋政策に対する協力意思を明らかにした。文大統領はこれに先立つ2017年11月韓米首脳会談当時には、インド太平洋政策に対して「初めて聞く提案」としながら「その趣旨を正確に知るのが難しく、韓国の立場表明を留保した」と話した。ところがそれから約2年後、米国の対中包囲構想であるインド太平洋政策に対する立場が変わった。
ただし、文政府は米国に呼応しながらも、中国との摩擦を避けるために、インド太平洋政策に関連して「韓国の新南方政策と連係する」という但し書を付けた。中国の一帯一路政策に対して「韓国の新南方・新北方政策間の連携協力を模索する」として条件付きの協力意思を明らかにしたのと同じ戦略だった。米中どちらか一方に肩入れしないで、両者の要求をどちらも受け入れるための苦肉の策だったが、結果的にそのどちらも満足させることができない曖昧性を生んだという指摘もある。
実際、バイデン政府は最近、韓国側にインド太平洋政策に関連した明確な立場を求めるようなメッセージを出した。米ホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は先月23日、カウンターパートである青瓦台(チョンワデ、大統領府)の徐薫(ソ・フン)国家安保室長との電話会談で「韓米同盟がインド太平洋地域内の平和と繁栄の核心軸(linchpin)」という言葉を残した。韓国を、事実上、インド太平洋戦略の協力国として定義するような発言だった。反面、青瓦台は該当の電話会談の内容を公開しながらも、サリバン補佐官の発言を直接引用することを除いては一度もインド太平洋という単語を使わなかった。
(2)クアッド&クアッドプラス
鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は公式任期初日である9日の記者懇談会で、中国牽制(けんせい)用と評価されるクアッド安保協議体について「その協力体が透明で開放的・包容的であり、国際規範を遵守するなら、どんな地域協力体とも協力することができる」と答えた。問題は昨年9月当時、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官がクアッド安保協議体を「他国の利益を自動で排除する協力体」と評価したという点だ。康長官の評価に基づくと、基本的にクアッド安保協議体は鄭長官が参加の前提条件として掲げた開放性・包容性を充足できない多国間協力体としてみている。
米国が中国を牽制するためにクアッド安保協議体に韓国・ベトナム・ニュージーランドなどを加えた「クアッドプラス」構想を明らかにしたことに対しても、外交部は留保的な立場を明らかにした状態だ。康前長官は昨年9月、国会の対政府質問で「クアッドプラスに対して政府方針を明確に明らかにしなくてはいけないのではないか」という野党「国民の力」の朴振(パク・ジン)議員の質問に「国レベル、政府レベルでの決定が必要な時点ではない」と線を引いた。
だが、旗振り役の米国では、すでに韓国がクアッドプラスに事実上参加したことを確定するような主張が出てくるなど、韓国の「戦略的曖昧性」が両国間の混乱にまでつながっている雰囲気だ。米国議会諮問機構である「米中経済安保検討委員会(UCESRC)」が昨年12月に発刊した例年報告書は、同年3〜5月に開かれた、クアッド4カ国に加えて韓国・ベトナムなどが参加した新型コロナウイルス(新型肺炎)対応関連会議について「初めて『クアッドプラス』として伝えられた、拡大した構成方式を始めた」と評価した。
(3)クリーンネットワーク
5G通信網などの分野で、ファーウェイ(華為)をはじめ中国企業製品を排除する「クリーンネットワーク」に対しても、韓国政府は事実上回答を回避する留保的立場を示してきた。昨年10月第5回韓米高官経済協議会で、クリーンネットワークに関連して「移動通信事業者が特定企業を使うか使わないかの問題は、関係法令上、民間企業が決める事項」という立場を明らかにしたのが代表的だ。現在、韓国のKT・SKTは中国産製品を使わないでいるが、LG U+はファーウェイ装備を使用中だ。
バイデン政府はトランプ大統領に続いてクリーンネットワーク基調を継続する点を公式化している。ジェン・サキ報道官は先月28日、「ファーウェイなど信頼できないベンダーが作った通信装備は米国と同盟国の安保の脅威になっている」と話した。昨年12月、米国議会がファーウェイ・中興通訊(ZTE)など中国産5Gネットワーク装備を使う国家には、米軍部隊や主要武器体系配備を再検討(reconsider)させる内容の国防権限法を処理したことも意味深長だ。韓国の場合、戦略・偵察資産のような主要武器体系と在韓米軍兵力再配置がクリーンネットワークへの参加と関わってくるからだ。
中国も正面対抗に出た。中国外交部の王毅部長は昨年11月、康外交部長官との会談で「中国主導の5Gサプライチェーン構想に参加してほしい」と話した。米国主導のクリーンネットワークに参加する代わりに中国と手を取り合おうという協力提案だった。
韓国外大国際地域大学院のカン・ジュンヨン教授は「われわれのように個別企業の観点を尊重していた英国がクリーンネットワーク参加側に傾き、韓国政府の立場が苦しくなった」とし「米中の間で選択を強要されているが、どのような選択もできないジレンマ的な状況が当面続く」と話した。