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- 2021.04.19 Monday
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【ワシントン=犬塚陽介】米国務省のトナー副報道官副報道官は8日の記者会見で、国務省高官が米国人の夫との結婚が破綻した日本人女性が子供を日 本に連れ去るケースと北朝鮮による拉致を同一視したとして、拉致被害者家族会などが抗議した件について、米国は「2つの問題を結びつけていない」と釈明し た。
トナー副報道官は「どちらも重要な問題だ」として双方に進展がみられるよう「全力を尽くし続ける」と述べた。
また、拉致問題では「日本側の懸念に直ちに応え、拉致被害の完全な再調査を約束した2008年の合意を最後まで遂行するよう北朝鮮に迫っていく」と強調した。
家族会によると、国務省のキャンベル次官補と7日に面会した際、拉致問題の解決に協力を約束する一方で、子の連れ去り問題を並行して考えてほしいとの意向を示したという。
【ワシントン=佐々木類】ロスレイティネン米下院外交委員長が9日、北朝鮮による拉致と、米国人の夫と結婚が破綻した日本人女性が子供を日本に連れ去るケースを同一視したキャンベル国務次官補の発言を「まったくおかしい」と厳しく批判していたことが分かった。
北朝鮮による拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表や超党派国会議員でつくる拉致議連の山谷えり子副会長らが10日、ワシントン市内での会見で明らかにした。
ロスレイティネン氏はまた、中国留学中の2004年8月、南部雲南省で北朝鮮に拉致された疑いのある米国人男性、デービッド・スネドン氏=当時(24)について、「事実なら米国の主権にかかわることだ」と述べ、調査を進めていく考えを示した北朝鮮による日本人拉致と、国際結婚の破綻に伴う「子の連れ去り」問題を絡めたキャンベル米国務次官補の発言は、訪米した日本側の神経を逆なでするもので、拉致解決に向けた日米協力のあり方に暗い影を落とす可能性がある。
「短い時間しかいなかったのに、彼の話の半分ぐらいが子の連れ去り問題だった。両者を関連付けて考えているというメッセージだ」。拉致被害者の支援組織「救う会」の西岡力会長は7日の記者会見でぶぜんとした表情をみせた。
キャンベル氏の発言の背景には、ハーグ条約に加盟していない日本に対する米側の強い反発と米国内で拉致問題への関心が薄れていることがある。
今年3月下旬、米下院外交委人権問題小委員会は、子の連れ去り問題の解決に取り組まない国への制裁を求める法案を可決した。
法案は子の連れ去りに関する未解決事案が10件以上ある国について、公的訪問や文化交流などの停止、貿易制限などを検討するよう大統領に求める内容。ハーグ条約に未加盟の日本は各国の中で最多の156件が未解決状態で、日本を標的にした法案だったのは明らかだ。
日本政府も今年3月、条約加盟の方針に伴い、国内手続きを定める条約実施法案を閣議決定しているが、法案の審議入りのめどはたっていない。
離婚後、米国の州法では、合意があれば双方に親権を認めるケースが多いが、日本では民法の規定で一方の親にのみ親権が与えられるという違いも審議入りの遅れに影響している。
キャンベル氏は2010年2月に来日した際、外務省幹部に、「(同条約に未加盟であることは)拉致問題での米政府の対日支援に悪影響を及ぼす」と警告。拉致被害者と、子を連れ去られた米国人の悲しみには「共通点がある」と述べていた。
米議会にはキャンベル氏の発言通り、「ハーグ条約に加盟しなければ拉致問題を支持しにくい」(同筋)との空気があり、外務省が恐れていた日米関係への深刻な影響という懸念が現実のものとなってしまった。
(ワシントン 佐々木類)
【ワシントン=佐々木類】超党派の拉致議連会長で、たちあがれ日本の平沼赳夫代表らは7日午後(日本時間8日未明)、ワシントン市内で記者会見し、拉致問題に関する米政府高官の発言に不快感を示した。
会見には、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会「家族会」と「救う会」の幹部も出席。
家族会の増元照明事務局長によると、国務省でキャンベル国務次官補と面会した際、キャンベル氏が、拉致問題解決への強い関与と協力を約束。その上で、国際結婚の破綻に伴う「子の連れ去り」問題に言及、並行して親権の問題を考えて欲しいと発言したという。
増元氏は、「親権問題は夫婦間の問題だが、拉致は国家的な犯罪だ。北朝鮮で命の危険にさらされている人間の問題を親権の問題と同一視するのは納得できない」と反論した。
キャンベル氏が退席した後、ズムワルト国務次官補代理が、子の連れ去りも拉致も「アブダクション」という言葉を使うことから混同が生じると釈明。米国とし ても拉致問題に取り組んでいく考えを示したが、増元氏は、「拉致を軽視するもので容認できない。腹立たしい」と語った。
キャンベル氏の発言について、平沼氏は、増元氏がその場で反論したため、新たな政治問題化するつもりはないという。
これとは別に、平沼氏らは北朝鮮に米国人が拉致された可能性があるとの情報を米側に提供。8日、この米国人の出身地であるユタ州選出の上下両院議員と面会する予定。