スポンサーサイト
- 2021.04.19 Monday
一定期間更新がないため広告を表示しています
- -
- -
- -
北朝鮮の独裁支配体制を根幹で支える政治犯収容所。その内実を描いた脱北者らのスケッチ集が韓国で編集され話題となっている。すべてのスケッチ は、公開銃殺や絞首刑、拷問などの目を覆いたくなる惨状を脱北者自身が描いたもの。金正恩第1書記の新体制となったいまも、大量の住民が強制収容され、暴 力と死の恐怖におののきながら暮らしている現実を告発するスケッチの内容を紹介する。(ソウル 加藤達也)
スケッチ集は「脱北者が直接描 いた北朝鮮政治犯収容所」。1975年から2002年までの27年間、収容所に囚われ「最長期の収容者」として知られる女性脱北者、キム・ヘスクさんらが 提供したスケッチを韓国の北朝鮮民主化推進団体である「社団法人 北朝鮮民主化ネットワーク」が編集した。
冊子は「衣・食・住」から「強制労働」、「拷問」そして「死」へ−と、収容所の“恐怖のシステム”の流れに従って編集されている。
スケッチ(1)は、「政治犯」の靴下と靴。
収監者は、ブタの皮革を足に縄でくくりつけて靴下の代わりとしている。そして廃棄タイヤの側面ゴムを針金で縫製した靴を履く。すべて収監者自身が作ったものだという。
スケッチ(2)の上は、収容所の住居だ。5〜6家族が入居する長屋は、藁葺き屋根に泥の壁で作られており、雨が降ればじめじめする最悪の居住環境だ。
その下は「食」。収監者に与えられる1日あたりの食糧は主にトウモロコシで350グラム未満。このほか、塩水に漬けた白菜の葉が3切れと若干の塩。ブタのえさも食べる。肉類は供給されないため、収監者たちはネズミを捕獲してタンパク源としている。
スケッチ(3)から(7)は拷問場面の再現だ。
(3)は天井から弓ぞりにつるす「鳩の拷問」。(4)は、意識がなくなるまで下半身の屈伸を繰り返す「ポンプ訓練」。(5)の「殴打拷問」は、直径5〜8センチの硬い木材で全身をくまなく殴打する。
(6)は指の切断。約5万人が収容されている平安南道の14号収容所の被服工場でミシンの修理を担当していた男性が2004年夏、ミシンの台を工場の2階に運ぶ途中でうっかり落として破損。それだけの理由で罰として受けた拷問だった。
(7)は火あぶりの拷問。この男性は14歳のとき、母親と兄が逃亡。その責任を負わされて秘密監獄送りとなり、手足を縛られて火あぶりを受けた。やけどのケロイドがいまも残っている。
収容所では、1週間に1度、監房を出て日光浴が許されていたが、その間にも銃床で殴るなどの暴行を受けた(8)。
最悪の衣食住の上に、過酷な拷問と強制労働。そのあげくに待ち受けているのは、死だった。
(9)は、1万人以上が囚われている平安南道の18号収容所での公開銃殺の場面。トウモロコシを盗み食いしたとして処刑された。(10)も18号収容所での絞首刑の様子だ。収容所内で宗教活動を行った疑いだという。