平成20年の記事から 北の女スパイ全貌(3)

  • 2012.06.13 Wednesday
  • 07:50
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110128/crm11012800410021-n1.htm

【衝撃事件の核心・特別版】

北の女スパイ全貌(3)

 暗殺命令「どうしてもできない」


2008.9.15 16:55
(1/5ページ)


証拠品のアルバムの中にあったドレスを着た北朝鮮の女スパイ、元正花被告の写真(ロイター)

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証拠品のアルバムの中にあったドレスを着た北朝鮮の女スパイ、元正花被告の写真(ロイター)


 韓国潜入に成功した北朝鮮の女工作員、元正花(ウオン・ジョンファ)被告(34)=国家保安法違反罪で起訴=は、米軍基地の写真撮影や情報収集などのミッションを着実に遂行していく。脱北者として韓国に定住することが許可されたウオン被告は、中国でたびたび朝鮮労働党国家安全保衛部の幹部らと接触した。さらに与えられたミッションは「韓国情報部員の暗殺」。ところが−。



「仕事したい」とウソつき、米軍基地を細かく撮影

 ウオン被告は2001年10月23日ごろ、仁川国際空港に到着した。迎えに来たのは夫の弟。乗用車で楊州市にある実家に到着した。

 数日するとウオン被告は、米軍基地撮影の任務を遂行するため、夫に議政府、安陽、田谷、城南などで金を稼ぐ場所を探したいとウソをついて外出する。まずは、家のそばからバスに乗り、楊州市一帯の米軍基地周辺を偵察し、基地の位置を把握した。

 ウオン被告は10月26日午後3時半ごろ、カメラを持って夫の家を出て、バスに乗って楊州市の米師団キャンプ近隣に出かけた。

 カメラで兵所囲いを撮影し、議政府方向に逆行して行きながら、敞所、囲い、警戒壁も撮影した。さらに約50メートル離れた米師団キャンプに行き、警戒壁と正門、キャンプ向かいの商店街、米軍正面も撮影した。

 夜間撮影のため、商店街地域を歩きながら地形偵察をした後、キャンプ正門に戻り撮影した。

 ウオン被告のこうした工作活動は1カ月にわたり、断続的に繰り返された。




男性に再接触…「お前下手を打ったな」

 ウオン被告は01年10月末、かつて中国で潜伏活動中に色仕掛けで抱き込もうとした、木製器製造業を営む韓国人男性に再度接触した。牡丹市場近くのコーヒーショップで会い、「中国で新しい事業を搆想中なので、一緒に行って現場も見て、相談もしたい」と意味深に誘った。

 だが、男性はこれを拒否した。

 ウオン被告はその直後、中国延吉にいる国家安全保衛部の幹部要員に電話をかけて、男性と接触した事実を報告した。

 「お前、下手を打ったな。仕方がない。男性を誘って中国へ連れて来い。そうすれば、我々がうまく“処理”する」

 ウオン被告は再三、男性を「中国に行こう」と誘ったが、男性は妻がいることを理由に、これを拒否して失敗した。

 再び中国延吉の幹部要員に連絡したウオン被告。

 「男性はお前の正体を知っているようだったか?」

 「詳しくは分からないようでしたが、北朝鮮の人間なのに、どうやって朝鮮族になって、韓国に入ってきたのかと疑っていました…」

 《ウオン被告は、かつてこの男性と中国で接触した際、脱北者と装っていたのだった》

 幹部要員はウオン被告に「もし、男性が気がついて通報するようだったら、まず、国家情報院(韓国の情報機関)に脱北者として自首しろ」と指示した。

 自分の身分がばれることを懸念したウオン被告は、脱北者として自首することによって、合法的に身分を獲得することを決意した。




“身分洗浄”完了

 ウオン被告は01年11月24日ごろ、議政府市内のあるバス停で、自殺用に持っていた毒薬6錠をトイレに捨て、着ていたミンクのコートの右側脇の縫い目をほどいて、その中にカメラを入れて隠したまま、夫の家に置き、関係機関を訪ねて脱北者であると偽装の自首をした。

 関係機関で、脱北の経緯や自首した背景などについての調査を受けながら、韓国侵入時に指令を受けたとおり、中国で韓国人男性の子供を妊娠し、男性を訪ねて密入国したと供述をした後、ハナ院(脱北者の韓国社会順応のため準備施設)で社会定着教育を受けた。

 02年3月19日ごろ、ハナ院を退所。その後、夫の家に戻り、ロングブーツに隠しておいた工作資金1万ドルを回収。夫と協議離婚した後、群浦市山本洞にアパートを借りて、合法の身分を取得するなど、身分洗浄に成功した。



「清津出身の脱北者名簿を把握して来い」

 ウオン被告は02年10月15日ごろ、その間収集した米軍基地を撮影した写真などの軍事機密を中国にいる幹部要員に渡すため、仁川国際空港から出国した。

 延吉にある豆満江ホテル302号で、幹部要員と会い、米軍基地の写真約100枚を撮影したカメラや6カ所の略図などを渡した。

 この時、幹部要員は「これからウオン同志を管理する人間が交代になるだろう。その人は、金○○同志だ。話しておいたから、一生懸命仕事をすることを望む」と言った。

 02年10月17日、中国延吉で弟と会った。弟は「(故郷の)清津の保衛部長が、姉さんに会いたがっている」と伝えた。

 ウオン被告は国境警備隊の案内で、ゴムズボンをはいて、(中朝国境を流れる)豆満江を越え、北朝鮮茂山に入り、そこで清津保衛部長に会い、同部長の車に乗ってウオン被告の母の家に行く途中、同部長から「南朝鮮にいる脱北者の中で清津出身の脱北者名簿を把握して来い」との依頼を受けた。

 清津で家族に会った次の日、同部長の車に乗って、北朝鮮茂山に行き、再び中国延吉に戻った。その後、中国から韓国に戻った。



「韓国情報部員を消せ」

 ウオン被告はさらに03年1月5日ごろ、北京で新しい幹部要員と会った。食事を終えた後、北京の北朝鮮大使館へ行った。

 新しい幹部要員は「南朝鮮の安企部(国家情報員=韓国の情報機関)の奴らが、祖国の情報を取ろうと躍起になっているが、奴らがどんな奴らで、どんな情報を要求するのか調べ出せ。知っている奴はいるか?」と話した。

 ウオン被告は「安企部の金○○と李○○を知っています。李は40代前半、金は30代半ば。彼らは北朝鮮に関連した情報を知りたがっています」と報告した。

 すると幹部要員は「李や金らが、北朝鮮の核兵器に関連した情報を取るため、どのようにしているのか、誰を利用しているのかなど、彼らの活動を把握しろ。安企部の奴らがやらせて、北朝鮮貿易をしながら北朝鮮情報を収集する奴らがいるはずだ。そいつらを捕まえなければならない。お前が北朝鮮貿易をしながら掌握しろ。そして金や李を中国に誘引して、連れて来ることができれば、連れて来い」と指示した。

 3度目の中国訪問では、「李が私に接近し、北朝鮮の情報を要求している」と報告。幹部要員から「李のような奴は殺して消さなければならない。脱北者を利用して祖国の情報を取る安企部の奴らが多い。そんな奴らは殺してしまわなければならない。お前がそんな安企部の奴らを調べなければならない」と“暗殺命令”も受けた。



「どうしても殺せません…」

 そして4回目の訪中。ウオン被告は04年1月8日、中国のホテルで報告した。

 「李が北朝鮮の資料を持って香港に来いと言っています」

 ウオン被告の報告に、幹部要員は「李を殺すことができるか? 祖国の情報を取る奴じゃないか。そんな奴らは容赦なく殺さなければならない」といって毒薬成分が入った「天宮自花」1瓶(60錠)を手渡した。

 「李にこれを精力剤だと言って与えれば飲むだろう。そうしたら、すぐに死ぬ」

 ウオン被告は、幹部要員から、「李」という国情院の情報部員が要求した資料が何なのかについて質問され、資料を見せてやると、幹部要員は「こんな資料はやっても大丈夫だ」と言った。情報部員は当時、香港に派遣勤務中だった。

 ウオン被告は情報部員を殺害するために、04年1月18日、香港でに移動し、一緒にホテルに泊まった。「李」と3日間一緒に過ごしながら、殺害する機会を狙ったが、その際、「自分によくしてくれる」という感情と、殺害後、検挙されることに対する不安感のために、どうしても殺害できなかった。

 韓国に戻った後、ウオン被告は公衆電話を利用して、中国の幹部要員に電話した。「同志、私はどうしても李を殺すことができません。良心を害することができないのです」と報告した。

 幹部要員は腹が立った様子で、ウオン被告に言い放った。

 「分かった! 私は今忙しいから、8月にこちらに来い」


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