屈従も繰り返せば癖になる

  • 2019.06.09 Sunday
  • 18:21

【コラム】 屈従も繰り返せば癖になる

【コラム】 屈従も繰り返せば癖になる

 

 中国の新聞に「獲悉」という単語で始まる文章がたびたび登場する。韓国語にぴったりと合う単語はないが、「知らせに接する」といった意味に近い。この単語には、秘められた歴史がある。1971年に行われた周恩来とキッシンジャーによる会談の共同宣言文に同単語が登場する。宣言文の草案には「ニクソンの中国訪問要請を受諾する」というものだったが、これを見たキッシンジャーが驚いた。この報告を受けた毛沢東が「どちら側も受動の側に立ってはならない」との指針を下し、周恩来が苦心した揚げ句に見つけ出した表現が主語のない動詞である「獲悉」だった。同単語には、国家間の外交で一歩も譲れない熾烈(しれつ)な駆け引きの様子が盛り込まれている。

 

 昨年、第1次米朝首脳会談を控えて同じような出来事が発生した。5月24日、崔善姫(チェ・ソンヒ)北朝鮮外務部次官が米国を猛烈に非難した談話文には「向こうから先に対話を要請しておきながら」という内容が盛り込まれていた。トランプ大統領はこれに直ちに反応した。首脳会談を取り消すという公開書簡で「北朝鮮が会談を要請してきたと聞いている」とくぎを刺したのだ。米国も北朝鮮も負けじと必死に応戦した。

 

 現在の韓国の外交から、こうした様子を見つけ出すことができるだろうか。2017年12月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国の北京大学で行った演説は非常に滑稽だった。中国を「高い峰」と表現し、韓国は「小さな国」と言ったのだ。これとともに「韓国は小さな国だが、大国中国の『中国の夢』のため共に行動する」と発言した。国家を謙遜の素材にすることは果たして適切なのか。大統領の権限には、他国の前で大韓民国の尊厳を引き下げ、ご機嫌取りをする自由までも含まれているのか。

 

 こうした傾向はその後も続く。中国を苦しめたPM(粒子状物質)2.5が、1日、2日後には間違いなく韓半島(朝鮮半島)にやって来るわけだが、中国に対してはまともに言及したことがない。中国の戦闘機は、韓国の防空識別区域(KADIZ)にまるで中庭であるかのように進入してくる。昨年だけで140回も無断進入し、今年に入ってからは大韓海峡(対馬海峡)を通って江陵と鬱陵島の間の海域をも通過した。これに対抗する措置として、韓国の戦闘機が中国の防空識別区域に進入して演習を行ったという知らせを聞いたためしがない。韓国がおとなしくしていたからといって、中国もそうしているわけではない。昨年9月、ソマリアから帰還した文武大王艦が台風を避けるために中国とベトナムが互いに領海を主張する海域に入り、約10分にわたって航海したとの理由から、中国は当初参加することにしていた済州島の観艦式に参加しなかった。

 

 

 昨年9月、タイのバンコク国際空港で中国人観光客が騒ぎを起こして空港警察に暴行される事件があった。その様子を撮影した動画がネット上で拡散された。この一件で、タイの首相は中国に謝罪し、空港警察の責任者には職務停止処分が下されたほか、暴行を振るった警察官は解任された。この外信報道に接し、中国がうらやましく思えた。フィリピンでは1、2カ月ごとに韓国人が犠牲となる殺人事件が発生しているが、韓国政府が外交による報復措置を取ったというニュースに接したことがない。従ってフィリピンでは「韓国人に当たっても後腐れがない」といった話が出回っているという。国家が国益を前に頼りなく礼儀をわきまえるなら、国民はいいように利用されるだけなのだ。

 

 文在寅政権は、北朝鮮が5月4日と9日に短距離ミサイルを発射してから8日後に、北朝鮮に対する人道的支援事業の名目で800万ドル(約8億7000万円)を計上し、コメまでも支援すると発表した。北朝鮮の発射したミサイルは最大射程距離が500キロメートルという。米国までは届かず、中国は最初から狙っていないわけで、攻撃の対象とされるのは韓国か日本であるほかない。人道的支援はいいが、これにはタイミングがある。拳を振りかざし、つばを吐きかける集団に、何事もなかったかのように直ちに贈り物をささげるというのは人道主義ではなく、屈従にすぎない。自尊心を守れない国家は軽蔑される。屈従も繰り返されれば癖になるのだ。

 

チョ・ジュンシク国際部長

 

 

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