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- 2021.04.19 Monday
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在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が今月開いた中央会議で、「金正恩(キム・ジョンウン)大将に仕え」と初めて金正日総書記の三男、正恩氏の名前を挙げて後継体制支持を表明したことが30日、分かった。正恩氏の公式デビューから1年近く、朝鮮総連も後継体制に向け始動したことになる。ただ、公式表明にもかかわらず、一般組織員には一切伝えないという不可解な対応に終始している。(桜井紀雄)
支持が表明されたのは、朝鮮総連の全国の幹部約350人が出席し、9日に東京の朝鮮総連中央本部で開かれた「朝鮮総連中央委員会第22期第2回会議」。朝鮮総連の内情に詳しい関西大学の李英和(リ・ヨンファ)教授が内部資料を入手し公表した。
会議で朝鮮総連の実質的指導者、許宗萬(ホ・ジョンマン)責任副議長が「金正恩大将に仕え、白頭の伝統を万代に光り輝かせ、大将の領導に服従しよう」と発言した。「白頭の伝統」とは、故金日成主席の抗日ゲリラ戦を指し、祖父から続く3代世襲の支持を打ち出したことを意味している。
許氏の発言に続いて地方組織の委員長が「金正恩大将の偉大性教育を推進する」と宣言し、他の幹部も支持を表明。会議の模様はDVDに収められ、北朝鮮本国に送られたという。
ところが、翌日に同本部であった朝鮮総連傘下団体幹部や職員ら約800人が参加した集会では正恩氏の名前は一切触れられなかった。さらに、許氏の公式発言は通常、朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」で大きく伝えられるが、支持発言についての報道はみられなかった。
李教授は「3代世襲に対する一般組織員の反発が背景にある」と指摘。組織員の間では世襲への強い違和感があるとみられ、「親の後光で後継者を決めることは容認できない」「3代にわたる最高権力の横取りは話にならない」といった声が上がっているほか、「3代世襲なら組織を離れる」との反発まであるという。
正恩氏は昨年9月、朝鮮人民軍大将として公の場に登場した。それ以降、朝鮮総連でも後継者問題をいかに内部に伝えるかを議論、対策資料などが作成されてきたが、「新後継者」と記述するだけで、正恩氏の名前に触れることはなかった。
今年6月、朝鮮総連幹部が訪朝した際、後継体制について組織内に浸透させるよう指示されたとされる。このため、朝鮮総連が本国と組織員の反発の板ばさみに遭い、幹部会議での支持表明と一般組織員には秘匿という玉虫色の対応が取られたようだ。
李教授は「反発を最小限に抑えるため、幹部へ浸透させた後、段階的に組織員に広めていくのだろう。朝鮮学校を通じて子供たちにも世襲の正当性を教えないわけにはいかず、朝鮮学校の教育内容をめぐる新たな火種になりかねない」と話している。
誤解を恐れずに言えば、北朝鮮による日本人拉致問題は東日本大震災の復興に匹敵するか、そ れ以上のテーマだと思っている。死者・行方不明者だけで2万人を超える被災地の復興や被災者への生活支援が、5年10年単位の年数を要する問題で、拉致問 題と同列に論じられないのは当然、理解している。
それでも100人は超すといわれる日本人が強引に国外へ連れ去られ、いまなお監禁生活を続けている拉致問題は、一刻の猶予も許さない喫緊の課題だと断言したい。例えて言うと、犯人が多数の人質と立てこもった誘拐監禁事件を想像してもらえば分かりやすい。
現場は連日、24時間体制で中継され、国民注視のもと捜査当局は犯人に人質を解放するよう必死に説得を試みるはずだ。拉致問題は犯人が北朝鮮という国家そのもの、被害者の所在が国交のない秘密国家で情報が断片的にしかないというだけの話だ。
政権与党の民主党には、この拉致問題となると右往左往を繰り返す議員が最低2人はいる。中国・長春で北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使と極秘会談をした中井洽(ひろし)元拉致問題担当相と、新たな献金問題が発覚した菅直人首相だ。
中井氏は昨年の今ごろ、訪日させた北朝鮮の元工作員女性をVIP待遇し、遊覧飛行に「ご招待」したパフォーマンスが記憶に新しい。
首相は自身の資金管理団体が、拉致容疑者の家族が関係する団体に多額の献金をした問題が明らかになった。21日の参院予算委では、その献金問題について横 田めぐみさんの母、早紀江さんが「政府を信じてよいのか。吐き気がするほど具合が悪くなった」と述べたことが紹介されると、それまでの強気の答弁が一転、 「大変申し訳ない」と謝罪した。
29日夜の記者会見でも、拉致問題解決について「私はあらゆる努力は惜しまない、あらゆる努力をするべきだと、基本的には考えている」と答え、個人的な「思い」を吐露している。
首相には、韓国で逮捕された拉致実行犯の北朝鮮工作員に対し早期釈放嘆願書に署名した前歴がある。それだけに、「拉致問題に無関心と思われたくない」との心理が根強いとみられる。
だが、「あらゆる努力は惜しまない」との発言が本心かどうか極めて怪しい。なぜなら、拉致 被害者「救う会」が作るブルーリボンバッジを常時付けていないことからもわかるように、最低限やれることすらやっていないからだ。年に1、2度の拉致問題 対策本部と被害者家族との面談時だけ付け、それ以外は「脱小沢」だの「脱原発」だのとぶち上げては何一つ前進が見えないのが首相の政権運営だ。家族会なら ずとも、その「本気度」が疑われても仕方あるまい。
北朝鮮という独裁国家を相手に、拉致問題を解決に導くことは、自民党政権でも難航した ように容易ではないことは誰も否定しない。だからこそ、拉致被害者の全員救出を求める意思表示のシンボルでもあるバッジをネクタイやシャツの上から付ける ことくらい、その気があれば今日からでも、できるはずだ。
第一、肉親との30年以上の時間を奪われた被害者家族に対し、現職首相が常時バッジを付けることは今や責務と言ってもいいのではないか。まして拉致問題で失点を重ねた負い目のある菅首相なら、なおさらだ。
首相や外相が常時、バッジを身につけていれば、各国との首脳会談などでも話題に上がり、拉致問題の国際的なアピールに資するだろう。それすらできないようなら、首相の拉致問題に対する意欲も「思いつき」、「まゆつば」の動かぬ証拠となる。(森山昌秀)
◇…先週の永田町語録…◇
(25日)
▽国民の手で選択
菅直人首相 エネルギー、原子力政策は日本社会の将来を大きく左右する課題。最終的には国民自身の手によって選択されるべきだと思ってる。(「脱原発」について参院予算委員会で)
▽男は黙って解散
山本一太自民党参院政審会長 首相を続けたいなら解散すればいい。「男は黙ってというCMが昔あった。ごちゃごちゃ言わずに「男は黙って解散」と申し上げたい。(菅首相退陣について記者会見で)
(26日)
▽常識知らず
安住淳民主党国対委員長 公式な理事間の協議を密室と言うなんて、常識知らずの意見。正式な国会での理事間協議を冒涜(ぼうとく)している。極めて不見識だ。(再生エネルギー特別措置法案の修正協議について記者会見で)
▽トリッキー
石破茂自民党政調会長 瀬戸際的なもので、非常にトリッキーだ。「イチかバチか」であってはならない。(中井洽元拉致問題担当相と北朝鮮高官との極秘会談について記者会見で)
(27日)
▽背筋が寒く
菅直人首相 最初はどこまで行くんだというくらい複数の原発がトラブルを起こし、どこまでやればいいのかと本当に背筋が寒くなる思いをした時期もあった。(東北6県の町村会長の要請に対するあいさつで)
▽馬耳東風?
舛添要一新党改革代表 問責決議案可決は普通の人なら一定の打撃になるが、首相は普通の人ではないので馬耳東風、のれんに腕押しになるかもしれない。(問責決議案提出に関し記者会見で)
(28日)
▽評価それぞれ
玄葉光一郎民主党政調会長 評価はそれぞれあると思うが、私たちの子どもや子育てに光を当てるという精神は大事にしている。(子ども手当見直し大筋合意について党拡大政調役員会で)
▽仕事やらせる
志位和夫共産党委員長 菅政権は東京電力を救済してみたり、方向性を間違っている。しかし、そういう内閣であっても東日本大震災の復興と原発問題の仕事はしっかりやらせる。(首相問責決議案に関し記者会見で)
菅直人首相が北朝鮮への電撃訪問を模索していることが25日、分かった。首相の意向を受け た民主党の中井洽元拉致問題担当相が21、22の両日、中国・長春で北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使と極秘に接触。中井氏は日本人拉致事件解 決への進展を求めたのに対し、北朝鮮側は見返りを要求したもようだ。首相は拉致問題に進展の可能性が見いだせれば、自ら北朝鮮を訪問し交渉に臨む意向だ。
日朝関係筋によると、中井、宋両氏は今春から、数回にわたり第三国で極秘交渉を行っている。日本側は拉致問題の具体的進展を求め、最終的には「日朝国交正 常化と日朝首脳会談実現を目標」に協議しているとされる。これに対し北朝鮮側は「拉致問題は解決済み」との従来の主張を繰り返し、可能なのは「日本人妻の 帰国とよど号犯引き渡し」であることを示唆しているという。
21、22両日の協議では、交渉の継続では一致したが、北朝鮮側は何らかの「見返り」を要求し、拉致問題の具体的進展は見られなかったもようだ。
首相は、自らへの退陣圧力が強まると予想される8月上旬を目標に、北朝鮮側との合意を目指している。電撃訪朝による拉致被害者の一部帰還も視野に入れている。
しかし、最近の対北外交をめぐっては、クリントン米国務長官が北朝鮮の金桂寛第1外務次官をニューヨークに招き、6カ国協議再開に向けた予備交渉を開くこ とを表明するなど、多国間交渉の枠組みが再スタートする兆しがある。このため、日本単独の対北交渉には政府内にも慎重論が根強く、「拉致被害者が全員帰っ てくるなら別だが、政治パフォーマンスなら世論や党内の理解は困難だ」(外交筋)との批判もある。
これまでの日朝協議では、福田康夫政権時代の平成20年8月に、北朝鮮による拉致問題の調 査再開、日本による対北制裁の緩和で合意。しかし、福田氏の首相辞任や金正日総書記の健康問題を理由に、北朝鮮側が合意を一方的に反故(ほご)にして以 降、公式な政府間交渉は行われていない。
中井氏の極秘交渉について、枝野幸男官房長官は25日の記者会見で「政府への連絡は特にない。事実関係自体、承知していない」と説明。伴野豊外務副大臣も「外務省としては事前に承知していなかったし、現時点でも一切関与していない」と述べた。
北朝鮮の宋(ソン)日昊(イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使と中国・長春で極秘接触した民主党の中井洽元拉致問題担当相は27日午前、国会内 で開かれた同党の拉致問題対策本部役員会(本部長・中井氏)で、「先週末、郷里を見に行くため出発して、帰ってきたら騒ぎになっていた。本当なら私も少し は役に立ったと報告したいが、ただふるさとを見て、泣いて帰ってきただけだ」と述べ、宋氏との接触を重ねて否定した。
その上で「北とのどんな話し合いの糸口も逃さないと言っているので、いろんなルートで努力いただいていると承知している。これからも大きく動き出している状況の中で、拉致問題解決に向けて打てる手があるなら打っていきたい」と述べた。中井氏は幼少時を長春で過ごした。
菅直人首相の北朝鮮訪問を念頭に、中国・長春で北朝鮮高官と極秘に接触していた中井洽(ひ ろし)元拉致問題担当相に、政府の拉致問題対策本部の職員が同行していたことが26日、分かった。中井氏や関係閣僚は接触自体を「知らない」と否定する が、政府内の矛盾が露呈した。自民党などは中井氏の行動に対し「二元外交だ」との批判を強めており、国会で追及する構えだ。
拉致問題対策 本部は26日の自民党外交部会で、21、22両日に北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使と会談した中井氏に、対策本部の職員が休暇で「私的な旅 行」として同行したことを明らかにした。職員は外務省から出向し、中井氏が担当相だった当時から同本部に在籍した。対策本部は職員が会談に同席したかどう かは明言を避けた。
中野寛成拉致問題担当相は25日夜に中井氏に電話で真意を確認。26日の記者会見で「中井 氏は『生まれ故郷の長春を訪れた。北朝鮮との接触はない』と答えた」と指摘。「職員を海外に出張させたことはない」と語っていたが、同日夕には、職員の同 行を内閣官房が認めることになった。
一方、首相は26日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、中井氏の行動について「全く承知していない」と関与を否定。自らの訪朝も「そうした予定や準備を進めていることは全くない」と強調した。
これに対して自民党の石原伸晃幹事長は記者会見で「自らの延命や支持率回復のために外交を利用するならば、国益を著しく損ねる」と批判している。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110723/edc11072302010000-n1.htm
朝鮮学校担保問題 学校“私物化”した総連ビジネス、進む補助金見直し
2011.7.23 02:00 (1/2ページ)[教育]
四日市朝鮮初中級学校を担保にした負債が不良債権化した問題は、朝鮮総連関係者が学校を“私物化”しカネもうけに邁進(まいしん)していた実態を浮き上がらせた。北朝鮮からの献金圧力のもと、学校の私物化は繰り返されてきたが、国や自治体がチェック体制を強めたきっかけは、皮肉にも朝鮮総連が求めた朝鮮学校への無償化適用問題だった。
起死回生
「手広く事業を進める地元きっての実業家」。関係者によると、学校資産を担保に多額の融資を引き出した在日本朝鮮人三重県商工会の元理事長は周囲からこう見られてきた。
だが、実情は違った。
過去にも北朝鮮で飲食店事業を展開しようとしたが、うまくいかなかったという。「地元の在日企業家の理事長という地位を利用して起死回生を狙ったのではないか」と関係者は指摘し、「中国や北朝鮮で事業をするには北朝鮮の承認が必要で、北朝鮮側にもカネが流れただろう」と推測する。
子供たちの学舎である学校資産を担保にした事業がなぜまかり通るのか。
元朝鮮総連関係者によると、北朝鮮から朝鮮総連に1980年代後半に出された本国への献金強化の通達以降、朝鮮総連は東京や大阪、京都の朝鮮学校資産などを担保に資金を捻出し、ビジネスを展開。本国へ多額の出資をした在日朝鮮人には勲章が授けられた。
担保の資産価値を大幅に上回るずさん融資が続き、平成9年以降、朝銀信用組合の破綻を招いた。千葉、埼玉、愛知など全国13の朝鮮学校の資産が整理回収機構(RCC)に仮差し押さえされた。四日市朝鮮初中級学校は当時、担保にされることを免れていた。だが、今回発覚したずさん融資は朝銀信組の破綻をめぐり、警視庁が朝鮮総連幹部らを逮捕したのと同時期に行われていたのだ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110723/crm11072302010004-n1.htm
朝鮮学校担保に総連系企業が事業、負債放置…
2011.7.23 02:00 (1/2ページ)
四日市朝鮮初中級学校(三重県四日市市)の土地と建物を担保に、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関連企業が資金を引き出したまま返済されずに不良債権化していることが22日、分かった。三重県は運営状態に重大な問題があるとして同校への今年度の補助金支給を凍結した。朝鮮学校の資産を担保にした負債が焦げ付いた例は各地でみられ、他の自治体の補助金政策にも影響を与えそうだ。
学校資産を担保に融資を引き出していたのは、朝鮮総連傘下の在日本朝鮮人三重県商工会の元理事長(59)が経営する企業。
関係者や登記簿によると、平成13年10月〜14年6月、学校の土地と建物を担保に同社の前身の企業を借り手、在日朝鮮人系金融機関の旧朝銀中部信用組合(現イオ信用組合)を貸し手とし、億単位の借り入れが可能な融資契約が結ばれた。元理事長はこれらを元に約3億円の資金を引き出し、中国でソフトウエア事業を展開。「中国経由で北朝鮮に資金を持ち出し、平壌で飲食店事業を行った」との関係者の証言もある。
学校資産を担保にするには、学校側の承認が必要だが、元理事長は「事業の利益で学校を支援し続ける」と吹聴し融資を取り付けたという。しかし事業はうまくいかず、負債は焦げ付いたまま。会社所在地に登記された県内のマンションは既に引き払われ、元理事長は所在不明となっている。
県は同校に毎年300万円の補助金を支給してきた。担保問題をめぐって15年にも学校側に是正を勧告。学校側は「解決に向け努力する」と回答していた。その後も放置され続けた状況を重くみた県は今年度の補助金支給を保留した上で、校長に事情説明を求めるなど調査を始めた。
県の調査に対し、校長は「就任前のことでよく分からない」と繰り返したという。県は学校側にさらに詳しい実態の報告と解決策の提示を求めている。
産経新聞の取材に、校長は「イオ信組などと協議し解決策を検討していきたい」。信組の担当者は「融資当時の状況を把握しておらず、お答えできない」と話している。
朝鮮学校の土地・建物を担保に朝鮮総連関係者が旧朝銀信組から巨額の融資を引き出すことは、以前から恒常化していた。旧朝銀信組の破綻をきっかけに全国13の朝鮮学校の資産が整理回収機構(RCC)に仮差し押さえされている。
インドのパティル大統領は韓国の聯合ニュースに対し、インドが北朝鮮の要請を受け、緊急の食糧支援を決定したと述べた。インド外務省によると、支 援は大豆900トンと小麦373トンの計100万ドル(約7850万円)相当で、今月5日に北朝鮮・南浦港から搬入を終えた。同ニュースが24日報じた。
同ニュースによると、パティル氏は「支援はインド政府の政策に基づき、慎重に検討した結果だ」と説明。食糧は、北朝鮮で活動中の世界食糧計画(WFP)を 通じ配分されていると語った。今後の追加支援実施の有無については言及を避けたが、同ニュースは、インドが食糧支援を続ける可能性があると指摘した。
韓国大統領府によると、パティル氏は24日から国賓として訪韓。25日に李明博大統領と会談する予定。(共同)
菅直人首相の資金管理団体が、日本人拉致事件容疑者の長男(28)が所属する政治団体「市民の党」から派生した政治団体に計6250万円を政治献金していた問題で、菅首相は21日の参院予算委員会で、拉致被害者家族への謝罪に応じない姿勢を一転させ、「もしそういうこと(拉致実行犯と近い関係)があったとすれば、大変申し訳ない」と述べた。自民党の山谷えり子議員への答弁。
参考人として出席した増元るみ子さん=拉致当時(24)=の弟で、拉致被害者家族会事務局長の増元照明さん(55)は「分からなかった、知らなかったとおっしゃるが、(北朝鮮工作員の)辛光洙(シン・グァンス容疑者の釈放嘆願書署名)のときと一緒だ」と菅首相を指弾。また、横田めぐみさん=同(13)=の母、早紀江さん(75)が今回の献金問題について「政府を信じてよいのか。吐き気がするほど具合が悪くなった」と述べたことなどを紹介した。
菅首相は「団体が(拉致実行犯と)関係があることを知らなかった。そうしたことがあるのであれば、政治的なつきあいは控えたい」と、今後は一定の距離を置くことを表明した。19日の衆院予算委で菅首相は、「私のあずかり知らぬこと」「この問題で謝るということにはならない」などと答え、謝罪を拒否していた。
市民の党には、昭和55年に石岡亨さん=拉致当時(22)=と松木薫さん=同(26)=を欧州から北朝鮮に拉致したとして、結婚目的誘拐容疑で国際手配されている森順子(よりこ)容疑者(58)と、よど号ハイジャック犯の故田宮高麿元リーダーの間に生まれた長男が所属。長男は今年4月の東京都三鷹市議選に市民の党から立候補したが、落選している。
北朝鮮の人権侵害についての独自調査で知られる米国の非政府機関(NGO)「北朝鮮人権委員会」が今月12日に米ワシントンで発表した英語による初の拉致報告書「北朝鮮による外国人拉致犯罪報告書」(「Taken!」140ページ)が、波紋を広げている。6、7月に2回にわたって米議会(下院)で報告書を元にした公聴会が行われる方向のほか、日本から拉致議連会長の平沼赳夫氏(たちあがれ日本代表)を団長とする訪米団が今夏、米議会などを訪問、拉致問題の国際連帯について米側と協議する予定だ。報告書発表会見に日本から参加した「家族会」の増元照明事務局長に聞いた。(久保田るり子)
米下院公聴会へ
報告書は北朝鮮の外国人拉致が金日成時代から行われてきた国家犯罪と指摘し、これまでに14カ国18万人が拉致されたとして、被害状況を詳細に記した。
増元氏は「英文で拉致の状況が詳しく述べられた報告書が出た意味は大きい」と期待感を示した。
記者会見のスピーチで増元氏は、姉るみ子氏が昭和53年にいなくなったときの心境や救出運動についての思いを語って米メディアの注目を集めたが、一方で北朝鮮人権委員会のロバータ・コーエン理事らから『日本の拉致問題はすでに終わった問題と思っていた。報告書で拉致問題が現在もまったく解決に向け進展していないことには驚いた』と言われ、「米国の人権専門家ですら拉致問題の現状を理解していない」と、第三国への周知の難しさを再認識したという。
北朝鮮人権委員会は、2001年に発足したユニークなNGOだ。米国内の独立した有力NGO幹部やジャーナリストらが超党派で集まり、北朝鮮の人権抑圧問題に取り組んでいる。人権委のコーエン理事も保守系NGOでしられるブルッキングス研究所研究員だ。人権委はこれまで04年に政治犯収容所に関する脱北者の聞き取り調査報告書を出すなど、北朝鮮の人権侵害問題の国際世論喚起をリードしてきた。今回の拉致報告書は、北朝鮮人権委員会事務局長で元米国防総省の朝鮮半島分析官のチャック・ダウンズ氏が中心に編集した。
増元氏はまた、米下院のロスレーティネン外交委員長に平沼氏の書簡を渡し、意見交換も行った。人権委関係者によると、現在、米下院での公聴会開催の調整が始まっており、ミャンマーなど世界の人権問題公聴会(6月)と北朝鮮の拉致問題(7月)の2回にわたって報告書の内容が紹介され、関係者の出席が検討されているという。
どこまでを「拉致」とするかの問題
報告書が外国人拉致被害者について「18万人」という衝撃的な数字を出したのは、朝鮮戦争(1950〜53年)時に南侵した北朝鮮が人材確保として戦場の韓国内で拉致した約8万2959人の「戦争拉致」が含まれていることと、59年から84年まで、日本の朝鮮総連が「祖国は地上の楽園」と宣伝し北朝鮮に送った日本人妻を含む帰国事業の約93000人が入っているためだ。
いずれも、北朝鮮で自由意思での帰国の道を絶たれ、いまだに解放されていない。人権委はこれをもって「拉致」と判定した。
日本人被害者については、政府認定17人に加え、北朝鮮による拉致の可能性がある失踪者を調査している民間調査機関「特定失踪者問題調査会」の挙げる約100人がカウントされた。
「特定失踪者問題会」の荒木和博代表は、拉致の提議は難しいと述べる。
「拉致は、強制的に連れて行かれたケースと自身の意思で入国したかだまされたものの自身の意思で入国し、その後意思を奪われたケースまでの間にグレーゾーンが存在する。帰国事業で北朝鮮へ行った在日韓国・朝鮮人の人々を『拉致』とするかどうかには議論もあるところだろう。だが彼らに現在、移動の自由はなく、拉致と同様な環境にあるも事実」と解説する。
一方で、国際的に北朝鮮の拉致問題への認識がこれまで広がらなかった理由について「北朝鮮のように国家(独裁者)の方針としての拉致は(日韓のように被害者のいない)ほかの国からみると分かりづらい。犯罪としての拉致はどこの国でもあるからだ」と指摘している。その意味でも、拉致被害リポートが当事国である日韓ではなく、米NGOからの発信された意味は大きいと述べる。
調査会が調べている失踪者は現在470人。北朝鮮人権委員会にカウントされた100人は、70年代に続出したアベック失踪者5組や、失踪のいきさつが唐突で拉致の可能性が濃厚な人々などだ。
報告書は、平壌郊外の外国人拉致被害者が居住しているとみられる居住地や、よど号ハイジャック犯の住む日本革命村などの衛星写真も掲載した。記者会見で北朝鮮人権委のリチャード・アレン共同議長(元米国家安保補佐官)は「北朝鮮の外国人拉致は現代で最も大きな罪のひとつ」と非難した。人権委は米政府に、北朝鮮のテロ支援国家再指定を求めているほか、アレン議長は報告書を「国連の潘基文事務総長に報告書を手渡す」としている。