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- 2021.04.19 Monday
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北朝鮮の3回目の核実験に抗議して始まった中国東北地方のデモが、中国南部にも拡大する様相を見せている。デモの規模自体は大きくはないが、中国国内の反北朝鮮感情がデモという形で表面化するのは極めて異例だ。
16日には中国遼寧省瀋陽の北朝鮮領事館前で、撫順・丹東などから集まったネットユーザーらが北朝鮮の核実験に反対するデモを行った。これは米国にサー バーを置く反中傾向のネットメディア「博訊」などが17日に報じた。報道によると、デモに参加した中国人たちは「東北3省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)の 目と鼻の先で核実験を強行した北朝鮮に対し、国際社会はより強硬な経済・軍事制裁を加えるべきで、中国も北朝鮮に対する援助をやめるべき」と主張したとい う。ある参加者は、デモを止めようとした人々に対し「北朝鮮はわれわれの家の前で核実験を実施したのに、われわれは(北朝鮮領事館の)門前でデモをしては いけないのか。あなた方も中国人だったらわれわれのデモに参加すべきだ」と訴えた。デモは衝突などのトラブルはなく30分ほど続いた。また「博訊」や日本 の共同通信などによると、中国南部の広東省広州市内でも同日に人権活動家ら7−8人が北朝鮮の核実験に反対するデモを実施したという。
この日午前11時ごろ広州の人民公園に集まった人権活動家らは「北朝鮮の核実験は恩をあだで返すもの」「核は災難」などのスローガンが書かれたプラカード や紙を掲げ、およそ30分にわたり街頭デモを行った。人権活動家らは午後1時ごろに再びデモを始めると、警察に連行されたが、2時間後に釈放された。
これに先立ち、北京にある北朝鮮大使館や吉林省長春、安徽省合肥市などでも北朝鮮の核実験に抗議する小規模のデモが行われた。また、共同通信によると「北 朝鮮の核実験に生ぬるい態度を示す中国の『屈辱外交』に抗議し、中国外務省前でデモを実施する」という書き込みがインターネット上に出回ったが、実際にデ モは行われなかったという。米紙ニューヨーク・タイムズは16日、中国国内のこうした動きについて「北朝鮮の3回目の核実験をめぐって中国の世論が悪化 し、中朝間の『同志愛』がこじれ始めている」と報じた。延辺大(中国吉林省)の金強一教授は同紙に対し「国民は中国が邪悪な体制(北朝鮮)の唯一の友人に なることを望んでおらず、北朝鮮を友好国とも思っていない。中国政府がこうした反北朝鮮の世論に直面したのは初めてで、習近平総書記にとっては大きな重圧 になるだろう」と語った。
日本の安倍晋三首相と、次期首相の筆頭候補に挙げられている自民党ナンバー2の石破茂幹事長が、北朝鮮の核実験をきっかけに、戦争を禁止している現行憲法(平和憲法)の改正の必要性を強く主張した。
安倍首相は今月15日、自民党の憲法改正推進本部の会合に出席し「現行憲法の前文は、日本国民は『平和を愛する諸国民の公正と信義』を信頼することを前提 としているが、これは異常だ」と述べた。一方、石破幹事長も名古屋市で行われた街頭演説で「北朝鮮の指導者たちは、憲法前文が想定した『信頼できる人々』 ではない。信頼を裏切られたとき、一体誰が責任を取るのかについて、憲法のどこにも書かれていない」と主張した。
日本の現 行憲法は、隣国が日本に対し先制攻撃をすることはないという前提に立っているが、北朝鮮は日本に対し核による先制攻撃を行う可能性があるため、これに備 え、現行憲法を早急に改正すべきというわけだ。安倍首相と石破幹事長は、北朝鮮の核実験をめぐり、北朝鮮のミサイル基地に対する先制攻撃を行える能力を備 えることを検討すべきだ、と発言したことがある。
安倍首相はまた「現行憲法のせいで北朝鮮による日本人拉致問題が解決でき ない」と主張し、1977年に発生した西ドイツ(当時)のルフトハンザ航空機ハイジャック事件を引き合いに出した。当時、ドイツ赤軍とパレスチナ解放人民 戦線が飛行機をハイジャックしたのに対し、西ドイツ政府は特殊部隊を派遣し、救出作戦に乗り出した。安倍首相は「西ドイツはテロリストを射殺し、人質を救 出したことにより、全世界から喝采を浴びた。これができたのは(西ドイツが)何度も憲法を改正したからだ」と主張した。西ドイツも第2次世界大戦での敗戦 後、軍隊の保有を禁止されたが、過去の過ちを徹底的に反省する姿勢を示し、フランスや英国など周辺諸国の了解を得て、1956年に憲法を改正し、徴兵制度 を導入するなど再武装に乗り出した。
一方、安倍首相は16日、今年7月に予定されている参議院議員選挙をめぐり「参院選で勝利してこそ、自民党や私が目標としている日本をつくることができる、基本的な政策を進展させられる」と語った。
国際オリンピック委員会(IOC)は12日、ロンドン五輪のサッカー男子3位決定戦で日本に勝った後、竹島(韓国名・独島)の領有を主張するメッセージを掲げた韓国の朴鍾佑に、保留していた銅メダルの授与を決めた。韓国の聯合ニュースが伝えた。
IOCは同選手と韓国オリンピック委員会に厳しい警告を与え、再発防止の教育計画を策定するよう勧告した。表彰式は行わない。11日の規律委員会を経て、理事会で最終決定した。
IOCは同選手の行動が、会場などでの政治的な宣伝活動を禁じた五輪憲章に抵触する可能性があるとしてメダル授与を保留していた。国際サッカー連盟(FIFA)は昨年12月に、韓国代表の2試合出場停止と3500スイスフラン(約36万円)の罰金処分を科した。(共同)
北朝鮮の金正日総書記が死去した前後に首都・平壌などで人々の生活や街の日常を撮影した東 京都在住の写真家、初沢亜利さん(39)が21日、写真集「隣人−38度線の北」を発売する。公式撮影が難しいとされる地方都市での撮影にも成功し、北朝 鮮の近況を知る記録写真として価値は高い。初沢さんは「ありふれた日常から見える北の素顔を知ってほしい」と話している。
笑顔で撮影に応じる軍服姿の2人組の女性=今年8月、北朝鮮の浮田市内
■近くて遠い
初沢さんは、平成22年に初訪朝してから今年8月までに4回訪朝。延べ滞在日数は1カ月に上り、平壌を中心に咸興(ハムフン)市や元山(ウォンサン)市など地方6都市も訪れ、計2万枚をカメラに収めた。
「日本からこんなにも近い国なのに、実態はほとんど知られていない。日本人の多くは『得体(えたい)の知れない国』と認識しており、近くて遠いこの国の姿を偏見なしに伝えたかった」
朝鮮総連を通じて入国許可が下りるまで1年以上かかった。訪朝時はいずれも中国経由で平壌に入ったが、最初の訪朝はカメラの持ち込みが禁じられた。
「批判的な写真しか興味がないと警戒されていたのかもしれない。それでも本当にカメラを持って行かなかったので、案内人には『丸腰で来たのか』と逆に驚かれました」
昨年6月の2度目の訪朝以降、正式に撮影が許可されたが、滞在中は必ず2人の案内人が同行した。「監視というより、現地でのトラブルを回避するのが彼らの目的だったと思う。北の人たちはカメラに慣れていないし、ましてや撮影者が日本人とわかれば嫌がるのも無理はない」
遊園地のアトラクションを楽しむ来園者。軍服姿の人もいた=昨年6月、北朝鮮の平壌市内
■地方都市にも
大勢の客でごった返す遊園地、エステでくつろぐ女性客、ファストフード店で注文のピザを手際よく焼く女性店員−。平壌で見た人々の営みは、日本の光景と大きな差異はなく、独裁下で飢餓に苦しむ状況はみられなかったという。
ただ、水田やトウモロコシ畑がひたすら続く地方を歩けば、川のほとりで極端にやせた子供がたたずむ姿や、人々が何をするでもなく路上に座り込んでいる光景などに出くわし、北朝鮮側が「見せたくない」場面も数多く撮影した。
平壌に向かう列車の中から撮影した北朝鮮の地方都市の風景。川のほとりにやせた裸の少年と水牛がみえる=今年8月
今年8月に訪れた元山のレストランでは、金正恩第1書記が視察するテレビニュースが流れ、人々が箸を休めて食い入るように眺める光景を目撃した。
「金正日の時代は誰もが背筋を伸ばし、かしこまって画面を見ていたのが印象的だった。彼らに自由はないが、どんなに貧しくても家族のためにひたむきに生きている。なぜか不思議と懐かしさを感じた」
写真集は徳間書店刊で、168ページ、税別2800円。問い合わせは同書店販売窓口((電)048・451・5960)。